※画像は、「小説 君の名は。」の表紙をスキャンしたものです。問題がある場合は、ご指摘ください。
【映画のネタバレを大いに含みます。映画未見の方が読んでも、共感も批判もできないと思います。映画未見の方、特に映画未見でかつ映画を楽しみたい!と思っている方は、くれぐれもご注意ください。】
大家好!
ここ数日、ほぼ毎日「君の名は。」という検索ワードから私のサイトを訪問している方がいます。私は公開2日目に見に行きましたが、その後小説を読み、9月24日に2回目を見てきました。同じ映画を2回映画館で見る、という経験は初めてでした。それほど、このアニメのとりことなった自分がいるわけです。2回目の鑑賞では、映画の過程も結論も知っているので、オープニングから注意深く見ました。1回目に見たときは理解が追い付かなかったところ(例えば、冒頭、三葉が朝起きて胸を揉んでいたシーンから、妹に「ごめん、明日は私が朝ごはん作るから。」というシーンのつながりなど。)も十分理解でき、背景を理解したり、ハラハラドキドキしたり、そういうことに脳が使われる時間が減りました。その分、内容をじっくり見ることができました。
まず、音楽との関連について。色々な記事でRADWIMPSの音楽がいい、と評価されていますが、私はこの映画における音楽の効果についてはよくわかりません。ただ、一点だけ、彼らの曲が効果的だなと感じた箇所があります。それは、「君の前前前世から僕は君を探しはじめたよ」というサビが猛烈に頭に残る曲が、瀧と三葉の入れ替わりをダイジェストに描いているシーンのバックミュージックとして使われている点です。曲にインパクトがあり、絵的にもコミカルに描かれているので、その後の瀧と先輩とのデート、そしてお互いの入れ替わりが終わってしまう、後半のシリアス路線への移行のいい区切りとなっているな、と感じました。
次に、瀧君の魅力について。前回のブログで「瀧君の魅力がわからない」と書きましたが、小説を読んでもやはりその魅力は分からずじまいでした。だから、2回目の鑑賞では、彼の良さを見つけ出そうと、精いっぱい努力して見ました。しかし、逆効果でした。奥寺先輩のセリフで、「最近の瀧君の方が好き」というセリフがありました。これは、「女子力が上がった」三葉に入れ替わっている瀧君を見て、奥寺先輩が感じたことです。つまり、瀧君には魅力はないが、三葉に入れ替わっているときの瀧君は素敵、と言っているのも同様です。だから、瀧君本人が奥寺先輩とデートをしても、奥寺先輩は楽しくないわけです。三葉の場合は、髪の毛を切って浴衣姿で登場した時、テッシーが早耶香に「失恋したのかな」としきりに聞いて浮足立っている、つまり三葉にある程度の魅力を感じているわけで、これとは大きな違いがあります。
ただ、2回目に見て感じたのは、正直瀧君の「人物像」に魅力があるかどうかはあまり重要ではなく、入れ替わったこと、そしてお互いの入れ替わりが途絶えたことで瀧君が三葉の「存在」と「喪失」を意識し、三葉を救いに行くという「行動」に出ることが大切だったんだ、ということです。その「行動」が彼の魅力として描かれているわけです。この行動で、観客も瀧君の魅力を感じ取ることができるわけです。では、三葉はいつ瀧君の魅力に気づいたか。それは、瀧君と入れ替わる中で感じたのでしょう。観客が瀧君の「行動」を見る中で見出だす彼の魅力を、事前に感じ取っていた、と理解すれば、まあ、丸く収まるかな、と思いました。瀧君の魅力については、2回目を見ることで一つの区切りをつけることができました。
しかし、2回目に見たことで、残念に思うことが新たにできてしまいました。それは、「伝統」の軽視です。おばあちゃん、お母さん、三葉、四葉と宮水神社の巫女として神事を司ることを使命とされています。しかし、母の死後、父はそれを拒んで家を去り、三葉はおばあちゃんと共にこの父に対して猛烈に反発しています。それなのに、自分は「こんな田舎は嫌だ」「口噛み酒は恥ずかしい」と、故郷を捨てて東京に出ていき、東京で瀧君と再会するわけです。もちろん、三葉の父に対する反発は、神事を捨てたことではなく、単に自分を捨てたことに対する反発であると理解することもできます。しかし、映画全体として、この宮水神社の血筋はこのストーリーで最も奇跡的で幻想的な「入れ替わり」に意味づけを与えるものであり、「口噛み酒」もクライマックスで大きな役割を果たし、御神体のある場所で、二人は初めて出会い、会話を交わしている(瀧君が中学生の時に、高校生の三葉と出会っているが、これは除外)わけです。つまり、宮水神社の「伝統」があったからこそ、二人は「結ばれた」のです。それなのに、三葉はそれをいとも簡単に捨ててしまった。私は(比較的)都会で生まれ、都会で育ったので、幼少時代を閉鎖的な土地で過ごすことがどういうことなのか、理解できません。私だって、そんな「伝統」を背負わされるとなれば、おそらくは三葉と同じような行動を取ったと思います。ただ、それでも、もう少し「伝統」を意識させるような演出がほしかった。例えば、大人になった三葉が、東京でも組紐を続けていて、その紐を身に着けている、とか、そういう配慮があると、そのモヤモヤがなくて済んだような気がします。
まあ、またしてもイチャモンを書いてしまいましたが、それもこれもこの映画が好きだからでしょう。音楽、映像ともに大きなスクリーンで見る価値のある映画であることは間違いありません。9月24日に見たときは、19:20からの回でしたが、100人は入っていました。昨日(10/3)のニュース(以下)を見る限り、興行収入は未だ衰えを知らないようです。ご覧になっていない方は、ぜひ一度ご覧になってみてください!
■『君の名は。』邦画アニメ歴代トップ5入り 128億円で『風立ちぬ』超え!(シネマトゥデイ 10月3日(月)19時22分配信)
大ヒットを記録中のアニメーション映画『君の名は。』の累計興行収入が128億円を突破し、2013年に公開された宮崎駿監督作『風立ちぬ』の最終興収120億2,000万円を抜いて、邦画アニメーション歴代5位に入った。(ランキング・数字などは興行通信社調べ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161003-00000027-flix-movi
では、謝謝!